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円卓の騎士小説ならこれ! と、これ以外のアーサー王物語をちゃんと読んだことのない自分が自信をもってお勧めする、従者テレンス物語。 もうね。一句一文に華があるんですよこの小説。15世紀のThomas Malory卿が書いた『アーサー王の死』を現代風にリメイクした作品なのだけど、伝統的な原作の下敷きと、著者の大胆な解釈・嘘ハッタリが華麗にブレンドされて、できあがったのはありえないぐらいカッコいい紳士淑女の物語。 実際、円卓の騎士ガウェインとクランの猛犬クーフーリンの戦いのようなトンデモ展開と、現実に語り継がれている伝承から来たであろう詳細なエピソードを巧みに織り交ぜることで、どこまでが原典どおりで、どこからが作者独自の創作なのだかさっぱり見分けがつかない、しかして全体としては実に正統派然とした円卓の騎士物語に仕上げてしまう作者の筆力が恐ろしい。とはいえ、円卓の騎士物語にドワーフが出てくるんだぜ? その時点で嘘くせえー。とか思っていると、その設定は『アーサー王の死』を忠実に再現しているものだったりして、結局のところ自分の思い込みが一番信用ならなかったりするのだが。 仮に、甘美な虚構に丸め込む手法で比べるならば、エンターテインメント性を追求しつつ、読後あたかも中国史に詳しくなったと錯覚させられる酒見賢一の小説が近いか。古めかしい言葉遣いを多用しつつも、軽快な読みやすさを犠牲にしていない点も嬉しい。 |
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