ツンデレお嬢のリリカル日記で始まるこの3巻。「どうしてあんな奴のことがこんなに気になるのかしら。もう、Garionのバカ!大ッ嫌い!」 Ce'Nedra姫、貴女はなぜそんなにも素敵なのですか。貴女が出てくる部分だけ、ベルガリアード恋物語とかそんな感じで、明らかに空気が違います。あまーいラブコメ路線を最後まで突っ走ってくれても大歓迎なのだけど、それはそれ。物語本編はだんだん死と暴力の気配漂うシリアス路線に傾いていく。 圧倒的な巨体で、パーティーの面々を掴んでは投げ、掴んでは投げる吹雪の国の巨人。近づこうとする人間の精神を狂気にいざなう嘆きの神。そして、抜け目ないSilkを捕らえ、あわや公開処刑にまで追い詰める暗殺集団、いずれ引けをとらぬ凶悪な相手が次々と登場し、一行の行く手を脅かす。 だが、日本人読者にとって真に致死的なのは、この闇の暗殺集団の忌まわしき呼び名が"Dagashi"だということに他ならない。この畏怖すべき殺人者達が裏の社会から姿を見せるたびに、脳裏に"駄菓子"という名前がよぎり、漫然と本を読んでいた不注意者を、悪辣な表現(例:Merciless Dagashi/情け知らずの駄菓子)で笑いの渦に叩き込もうとするのだ。奴らは貴方の腹筋を狙っている。 魔術師Belgarathと、Murgoの王であり自らも魔術師であるCtuchikとの決戦は、物語前半の折り返しを締めるのにふさわしい迫力。主を失った後に鳴動して崩壊する城も、お約束だが、燃える。 スポンサーサイト
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