ミステリ小説の世界には、ときどき奇書が出没する。複数の袋とじで出来ていて、切り開く前と後で全く別の話になる小説や、章を読む順番で最終章の意味が変わる小説など、普通のミステリ技巧とは別に、本の作りそのものに読者を楽しませるための仕掛けが施されているような、人を食った小説達。 この、「しあわせの書」も、そんな奇天烈ミステリ小説のひとつ。 Amazonのレビューでも言及されているとおり、この本のストーリーはそれほど大したものではない。迷探偵ヨギガンジーを主役に置いた、まるで火曜サスペンスで出てくるような、地に足の着いていない安っぽいドラマが展開される。だがしかし、見かけのチープさに油断してはいけない。本文中の全ての謎が解明されて、話が終わるその瞬間に、大変な大仕掛けがその首をもたげる。 もちろん自分も、油断のできない本であるという評判を聞いた上で買ったのだけど、そうやって身構えていたせいか、 『「しあわせの書」は、桂葉華聖と言う人の著で、一九八七年七月一日、惟霊講会の出版社から発行されている。』という書き出しの文章を二〇〇七年七月一日に読んだときには、これはどんなトリックだと、ちょっとギョッとした。(単なる偶然) |
あー。なんとかPC環境復帰しました。挙動がかなりやぼったくなって、ブラウジングがガクガク遅れたりするので、やもするとメモリが物理的に1枚2枚破損してるのかもしれませんが。一応、コンパネ上は全部認識されてるんだけどね。ちとあやしげ。落ち込むこともあるけど、私は元気です。
あ、そうだ。Kanami(Clone-army)のキネティックノベル(?)のページがアップされてました。今日まですっかり存在を忘れていたことはここだけの秘密。 http://games.clone-army.org/index.php 本題:食卓にビールを http://www.amazon.co.jp/dp/4829162678/ 今まで読んだ中で一番好きなライトノベルを挙げて、と言われたら、一番先に小林めぐみの「ねこのめ」3部作の名前が出てきます。次点が高畑京一郎の「タイム・リープ」。 往時の小林めぐみは本当に光っていました。「ねこのめ」しかり、「まさかな」の地球規模の大オチといい、まぎれもなくライトノベルなのに、その範疇におさまらない、ジャンルの枠組みを感じさせない奇抜な発想が好きでした。ま、その後、「極東少年」やら「必殺お捜し人」やらで、普通のラノベ作家になってしまったのに落胆して、久しく読んでなかったんですが。 最近この本が、割と変でいいらしい、という話を聞いてレッツトライ。ちなみにレッツのツはusなんで、本当はこういう使い方は誤用らしいんだけど細かいことは気にしないのです。 んー。これだこれだ。昔の小林めぐみが戻ってきた。ぶっちゃけ話は「ねこのめ」ほど面白くない、っていうかかなり自分の好みをハズしているのだけれども、語りが絶妙。どこからその発想が出てくるんだか脳味噌の中を覘いてみたいボケ倒しの数々。この気取らなさが心地良い。 1巻発売時のコラム。小説と一切関係ない煮豆で盛り上がるところがさすがだ(笑) http://www.fujimishobo.co.jp/mystery/column/05.html |
![]() いい年の男が読むのはちょっと恥ずかしい表紙。 なんだか知らないけど、表紙とは裏腹の凄いミステリがあるよ、という噂を聞いて読んでみましたコバルト文庫。青い騎乗柄のレーベル、ひさしぶりに見たなあ。
とはいえ、このアオリ文だけで、綾辻行人スキーとしてはドキドキが止まらない、な訳ですよ。ああ、妖しげな事件のかほりがする。 冒頭のチャットだってこんな調子。
お前らどんな妄想癖やねん! 最近のお嬢様は日常生活でトリック談義をするのか! と、喜んで読み進めたものの…… うーん……ガッカリー。 終盤で急転直下をするものの、ミステリを通り越して何か異空間へ突き進んでしまいました。ここはどこ? 私はだあれ? 新本格を求めた自分がいけなかったようですが、全員変名、というガジェットが全然生きていないのもつらかった。 この小説の何が凄いのか解説してくれているサイト(激しくネタバレ) http://d.hatena.ne.jp/Erlkonig/20051121/1132532345 ああ、なるほど。自分にはその先入観があまり無かったから、ふーん。で終わっちゃってた訳か。少女小説にどっぷり漬かった人の為のミステリな訳ですね。 |